土曜日夜11時。
ふと思い立ち、ヨセミテ国立公園に向かう。


夜中にひとりでホテルの部屋にいて、
なんだか所在がなくなり、いてもたってもいられなくなっただけ。
ヨセミテは彼女と一緒に行ったところ。
そのときも今いるこの場所付近から行った。
同じ道を辿り、
彼女と一緒に過ごした日に今を重ねたかったのかもしれない。


ハイウェイを何本も乗り継ぎ、
夜中に開いている場所を探しては給油を行い、
やがてヨセミテへ行く観光客がホテルを取って
旅行のベース基地にするMercedの街に到着。
この時点で夜中の2時。
路駐して車内で眠ろうと思ったものの気持ちは高ぶっていて眠れない。
結局15分ほど休憩してMercedを出発し、
しばらく走って「ヨセミテまで71マイル」の看板も通り過ぎ、
さらにしばらく走って残り50マイルも切ったか・・・というそのとき。


Mercedからヨセミテへ1本道で続く140号線の上。
このまま直進するだけで間もなく目的地に着いてしまう。
そう思ったとき、行ってはいけない気がして、
ふと車を停め、ひとり車外に出てみる。


月明かりでぼんやり見えるまわりの景色。
一度彼女と通ったこの道、
昼間ならどんな景色が広がっているかよく憶えている。
道の両側は広い広い緑の牧草地。
時より牛もいるのんびりしたところ。
空を見上げれば、彼女と見た青い空の代わりに
黒い空に瞬くように輝く何千の星。
耳に聞こえるのはコオロギの泣き声。
しばらく停車していても、
ヨセミテへ行く車、ヨセミテから帰る車ともに1台も通らない。
彼女とこの道を通ったときは、
「ヨセミテはどんなところだろう、ホテルはどんなところだろう?」
楽しい気持ちでいっぱいだった。
このままひとりで行って、
楽しかった想い出にひとり寂しい想い出を上塗りすることはない。
またいつか、彼女とここを走りたい。
自分ひとりで走る場所じゃない。
そう思ったとき、自然に車に乗り込み、
Uターンして帰途につく自分がいた。


来た道をそのまま帰ってきて、ホテルに戻ったのが朝6時過ぎ。
8割方到着していたのを放棄して帰ってきたのに、
彼女との想い出を大切にできた自分がなんだか嬉しくて
そのまま熟睡。


彼女には「途中まで行ったけど引き返した」と伝えた。
まさか夜中に7時間もかけての往復だったとは
夢にも思ってないんだろうな・・・(笑)

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